「MonsterMind」NSAが新たに作り出した、サイバー戦争用プログラム
2014/08/18 - 18:00

photo by L.C. Nøttaasen
アメリカ国家安全保障局(NSA - National Security Agency)とは、アメリカの諜報機関の内、情報部門で運営されている組織です。
主に情報セキュリティを扱っていますが、内部の情報は完全に秘匿されており、現在でも内部通謀者しか情報を知り得ることが出来ません。
つい最近、エドワード・スノーデンによって内部告発された内容によると、米国に行ったサイバー攻撃を阻止し、更に報復攻撃を行う「MonsterMind」と呼ばれるプログラムをNSAが開発していると話していました。
NSA's MonsterMind is an autonomous bot that wages cyberwar
http://www.wired.co.uk/news/archive/2014-08/14/monstermind
プログラムの詳細は不明ですが、スノーデンによると悪意のあるトラフィックに対してそのプログラムは即座に検知してブロックすることが可能とWiredとのインタビューで語っていました。
また、ペンシルベニア大学のコンピューター·サイエンスの准教授Matt Blaze氏によると、NSAが悪意のあるトラフィックを検知することが可能な場合、その活動のメタデータをパターン化することが可能であると述べています。

photo by phsymyst
言ってみればこれは1980年代のレーガン大統領の時期に構想された戦略防衛構想(スターウォーズ計画)のデジタル版です。
MonsterMindは米国へ害をなす攻撃を阻止し、相手を無力化させることが出来ます。
スノーデンによると攻撃を阻止するだけではなく、更に報復攻撃を行うと示唆しており、将来の攻撃を行わせないためにもこれは有効であると考えています。

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ただ、このプログラムには問題点があり、一つは報復攻撃によって期待していない付随的損害が発生するおそれです。
最初の攻撃はおそらくプロキシを用いて何者かを踏み台にして米国へ攻撃を行うだろうと考えており、その場合、報復攻撃は踏み台に行われてしまいます。
いわば巻き沿いの形で攻撃をされてしまうため、場合によっては大損害が出るかもしれません。
そして、もう一つの問題は憲法の問題です。
このプログラムは悪意善意問わず、すべてのトラフィックを解析する必要がありますが、憲法第4条では悪意の疑いなどの理由なく個人のトラフィックを解析することが禁じられています。

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この「MonsterMind」は以前政府が発表した、ネットワーク上の監視を行うシステムである「アインシュタイン2(PDF),アインシュタイン3(PDF)」と似ており、また、国防高等研究計画局(DARPA -Defense Advanced Research Projects Agency)がプランXとして考案していたサイバー戦争計画にも似ています。
プランXがMonsterMindであることや、MonsterMind自体が存在しているのかは明らかではありませんが、スノーデンがNSAの契約者として仕事をしていた時はMonsterMindは準備中であったと話しています。
現在NSAはこのプログラムに関して一切答えることはありません。
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