• 人間の脳に関する「5つの神話」の真実

    

    人間の脳に関する「5つの神話」の真実

    とは動物の頭部にある、神経系の中枢であり、脊髄とともに中枢神経系をなし、感情・思考・生命維持その他神経活動の中心的、指導的な役割を担います。また、ヒトの脳は成人で体重の2%ほどにあたる1.2~1.6kg程の質量を持っており、神経細胞はおよそ300億個含んでいます。

    ただ、脳は長い間研究されてきたにも関わらず、解明されていない要素が多く、まだまだ未知に包まれた存在です。

    そのため、誤解によって流れてしまった情報もあり、一部では未だにその誤解のまま通用している事実もあります。最近では男性脳女性脳は存在しないのでは?という研究もありますが、はっきりしていないのが現状です。

    ここでは、人間の脳について多くの人々が信じてきた「5つの神話」の真実をご紹介します。



    5 myths about the human brain, debunked
    http://www.vox.com/2014/10/7/6895571/brain-myths-debunked-facts-human-mind-psychology

    神話1:モーツァルトを聴くと、より賢くなれる?


    Mozart - Sonata for Two Pianos in D, K. 448 [complete]
    https://www.youtube.com/watch?v=tT9gT5bqi6Y


    クラシック音楽、それもモーツァルトの楽曲が人々を賢くさせるという強力な神話は20年も続いています。1998年にはジョージア州の知事がすべての新生児のために無料でクラシック曲を収録したテープやCDを提供しようとしていました

    しかし、モーツァルトを聴くことで実際に賢くなっていることを示唆するデータは実際には少ないです。

    この神話は1993年、ネイチャー誌に「モーツァルト効果」が公開されたことが最初で、Frances Rauscher(現在のウィスコンシン大学)による研究によると、10分間、モーツァルトのソナタK.448を聴いた大学生が空間知能テストを行ったところ、聴いていない人よりも約8ポイント高い得点を獲得したと発表しています。

    けれども、この研究の効果は非常に一時的であり、10〜15分後には元に戻ってしまいます。また、モーツァルトを聴くことは紙を折り重ねる、鉛筆で作った迷路を解決するような空間の知能タスクに効果があったとされており、一般に知能を向上させるという効果があるとは言えませんでした。

    この研究以降、研究者らはクラシック音楽がもたらす影響を調べており、いくつかの研究は小さな効果をもたらすことになりましたが、大体は効果がありませんでした。

    一部の科学者は、モーツァルトの曲を聴くよりも、個々の好みと気分の方が効果をもたらすと考えていました。

    2006年に行われた実験では、10歳~11歳の子供達にロック調の曲を聴かせたところ、実際に良い効果が出ていたことが判明しています。

    知的能力の向上には最適ではありませんでしたが、現在行われている最新の研究によると、モーツァルトの曲がてんかん患者の脳波パターンに良い影響を及ぼすとして研究が継続しています。


    神話2:右脳は創造的であり、左脳は論理的である?


    2014-10-08-24
    photo by Allan Ajifo

    脳は、脳梁と呼ばれる交連線維の太い束によって左右の大脳半球が繋がれています。この配置により、左右に分けられた脳はそれぞれ能力が異なっていると推測されています。しかし、これらの推測の多くは間違っています。

    健康な脳は両方の脳を常に使用しており、fMRIのような脳イメージング技術によって脳が非常に協力的であることが分かっています。

    つまり、言語、数学および創造性に関する単純なタスクでさえ、全脳および大脳半球の両方が使用されているのです。

    ただ、脳の左右の半球の間には1つの大きな違いがあります。脳の右側は、身体の左側を制御しており、脳の左側は、身体の右側を制御していることです。

    しかし、それでも完全に固定されている訳ではなく、もし脳の一方が脳損傷を被った場合には、脳の他の部分が制御能力を引き継ぐ場合もあります。

    過去の例として、子供の厳しい発作を停止するために外科医が子供の脳を半分切除したということがありましたが、何人かの子供は、自分の体の反対側の動きを失う可能性がありますが、その多くは普通に歩くことができ、以前と変わりない状態を保っていたという事例が存在しています。

    神話3:脳は全体の10%しか使っていない?


    2014-10-08-25
    photo by Doug Tammany

    この神話のアイデアはどこから来たのかは明確ではありませんが、最近では映画のLucyでも誤用されていたことが判明しており、この誤った情報が世界中で大規模に拡散されていることがよく分かります。

    映画『LUCY/ルーシー』予告編
    https://www.youtube.com/watch?v=sx_bLvKF6o4


    現在では研究者がfMRIや他の画像化技術を用い、実際に脳活動を観察することができるため、脳の変化をはっきりと見ることができます。

    メイヨークリニックの神経科医のJohn Henley氏は「脳は体の筋肉と同じように、ほとんどが24時間にわたって継続的に活動しています。」と、科学雑誌Scientific Americanにて説明しています。

    脳が100%使用していることは直感的に考えても理由があり、そもそも脳はあなたの体のエネルギーの約20%を使用していることから、膨大なエネルギーが必要になっています。それにも関わらず脳が全体の10%しか使用していない場合、それは非常に非効率的であり、単に膨大なエネルギーの無駄になります。


    神話4:大人は新しい脳細胞を作ることができない?


    2014-10-08-26
    photo by oxfordcreativity

    これは単にポピュラーな神話ではなく、長い間、ほとんどの科学者は人々が一旦成年期に達したら最後、新しい脳細胞は生まれないと堅く信じていました。

    しかし、1960年代にMITの研究者、Joseph Altman氏が行った研究では、成熟したネズミに新しい脳細胞が生まれていたという証拠を見つけていましたが、他の研究者は彼の研究を聞きませんでした。

    それから数十年経ち、1980年代に科学者らは、大人のスズメが新しい脳細胞を生成したことを示す証拠を発見しており、1990年代には、同じような証拠をマウスおよびサルで発見しています。

    そして1998年には、科学者たちがヒトの成人が新たな脳細胞を生み出していることを示す研究を発表しています。

    研究者らは、ガンを持った複数人のボランティアの脳に細胞マーカーを注入することによって調査を行っており、これらの患者が死んだ後、研究者は脳を検査し、海馬中の新しい脳細胞を生み出す確固たる証拠(記憶を司る構造)を発見したのです。


    神話5:あなたの記憶は正確である?


    2014-10-08-27
    photo by Marina del Castell

    脳はコンピュータのような完全なデータ記憶装置では無いため、いつまでも正確に記憶を残せるわけではありません。

    重大な出来事を鮮明に覚えている現象はフラッシュバルブ記憶と呼ばれていますが、これも時間が経つことでその記憶に事象の誤りやギャップ、類似の出来事へと勘違いするなど、徐々に変化していきます。

    例えば、アメリカのOJシンプソン殺人事件裁判の判決後に行われた研究では、当時全米が注目していた事件であることから、15ヶ月経っても人々の50%は記憶していましたが、32ヶ月もすると正確に覚えていたのはわずか29%しかありませんでした。

    同様に、2001年9月11日の同時多発テロの7週間後にマンハッタン大学の学生に行った調査では、約73パーセントが事件を正確に覚えていなかったことが判明しています。

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