• 何故私達には「血液型」があるのか?

    

    何故私達には「血液型」があるのか?

    血液型はオーストリアの病理学者Karl Landsteinerによって1900年に発見されました。

    血液型が発見されて100年以上か経過していますが、この血液型の意味するものは一体何のために存在しているのでしょう?

    この血液型の謎について、サイエンスライターのCarl Zimmer氏が調査しました。



    Why do we have blood types?(mosaic)
    http://mosaicscience.com/story/why-do-we-have-blood-types

    彼は両親からA+という血液型を伝えられた時、彼は奇妙な誇りを感じました。

    成績の採点の際にも+の数値は良いことであり、-は悪いことの区別をしていたため、生物学の点でも良悪の区別をしていたと感じたためです。

    それが馬鹿げていたと気づくのに時間はかかりませんでしたが、本当の意味については深く勉強もしていませんでした。

    大人になった現在、血液型の事で分かっていることは、万一私に輸血が必要となった際に適切なタイプを医者が確認して注入するということです。

    しかし、ここで疑問が残ります。白人の40%とアジア人の27%は何故血液型がA型なのか、どこからこの異なる血液型が渡ることとなったのか、彼らは一体何をしてこうなったのかと。

    その疑問を解決するために彼は血液専門医、遺伝学者、進化生物学者、ウイルス学者と栄養の科学者など、様々な専門家に聞いてみることにしてみたのです。

    2014-07-23-10
    photo by Chris Gladis

    1900年にKarl Landsteinerが血液型の発見によってノーベル生理学·医学賞を受賞、それ以来科学者は血液型を利用して強力なツールを開発しました。

    例えば、家系を深く辿ったり、血液型の影響で私達の健康を検測したりなど、彼らは血液型を利用することで興味深い手がかりを見つけます。

    しかし、多くの点で血液型が妙に神秘的なままであることが分かり、また科学者たちも彼らの存在そのもの説明する良い考えを思いつくまでには至っていませんでした。


    血液型の発見は医療の歴史の中で偉大なる発見です。なぜなら輸血によって患者を救うことができるからです。

    しかし、そこに至るまでの歴史は狂気に満ちていていました。

    ルネッサンス期の医師は、患者の静脈に彼らの血液を入れたらどうなるかと思慮しており、いくつかの医師は、何者かの血液を入れることによってあらゆる病気の治療が出来るのではという考えもありました。

    1600年代には数人の医師らが考えた、悲惨な結果に終わった実験が行われていました。

    フランスの医師の例では、狂人に子牛の血液を入れてみたということがありました。輸血後すぐに男性は汗をかき、嘔吐をし始めます。更に煙突のすすの色のような尿を出し始めたので、別の輸血を試してみましたが、男性は死亡しました。

    このような災難が影響し、今後150年間は輸血に対して悪い印象を与えてしまいます。


    2014-07-23-11
    photo by School of Veterinary Medicine and Science University of Nottingham, UK


    けれども、19世紀には数名の医師が勇気を出して輸血に手を出す者もいました。その一人は産婦人科医のJames Blundellという英国の医師です。当時の産婦人科医は彼と同じように、出血によって死亡した妊婦を数多く見てきました。その事に悩んだ彼は1817年に複数人に輸血を行うことを決心します。

    人間の患者は人間の血液のみを使用するべきだとBlundellは考えていました。しかし、当時はそのような考えをする者はおらず、誰も試したことはありませんでした。

    Blundellは患者に輸血するためにドナーから採血するためのシステムを構築、犬からテストした後、輸血を欲している患者をベッドへ運びます。

    いくつかのドナーから血液を採取し、患者の腕へ輸血しました。

    輸血後の患者はBlundellに対し、「気分が良くなった」と話していましたが、彼は2日後に死亡してしまいます。

    Blundellはその後、「輸血によって救われた命があると考えると我慢ができなかった、輸血は彼の人生にチャンスを与える可能性があったのかもしれないのだから。」と自著に書かれていたそうです。

    Blundellは輸血が人類にとって大きなメリットとなると確信し、その次の年には10名に輸血を施します。結果は4名が生存。

    彼以外の他の医師達も同様に輸血を施しますが、結果は憂鬱なものでした。1870年代には牛乳を輸血に使うなど、危険で無益な方法を使うこともありました。

    Blundellは人間は人間の血液を使うべきだという方法は正しかったと感じます。しかし、彼は特定の人間から摂取する必要があることについては気づきませんでした。Blundellの知識不足によって彼の患者の数人は死亡してしまうことになります。

    これらの悲劇的な死から数十年後、かなり単純な手順によって血液型が発見されることとなったのです。

    2014-07-23-12
    photo by Abraxas3d


    19世紀初頭、輸血の失敗の理由の一つは血液の塊でした。1800年代後半に研究者が彼らの血管に赤血球がくっついていることに気付きます。

    しかし、これらの血液は一般に病気の患者から来ていたために、研究者は凝固した血液に関して価値はないと考えて捨ててしまいました。

    オーストリアの病理学者、血清学者であるKarl Landsteinerは彼らが関心を示さない血液を調べた結果、あまりにも血液が凝集していることに気付きました。

    彼は自分を含んだ研究所のメンバーの血液を採取、凝固パターンを関連付けし、赤血球や血漿中のサンプルを分離させて血漿を作成、それをもう一人の細胞と血漿を配合した結果、特定の人物によっては血液の凝固が発生することを発見します。

    更に組み合わせをまとめた結果、血液には3つのグループ、A、B、C(後にO型)のタイプがあると発見しました。

    グループA(A型)同士では血液の凝集は起こりませんが、グループAとグループB(B型)の血液を混合させると血液は凝集してしまいます。

    また、不思議なことにグループC(O型)の場合はグループAを混合させても血液は凝集せず、グループBを混合しても凝集することはありませんでした。

    輸血の際に注意しなければならないのはこの凝集のパターンであり、A型にB型の血液を輸血した場合は血液の凝集が引き起こされて小さな血栓が出来てしまいます。もしA型に輸血するならば、同じA型、あるいはO型を用いなければなりません。

    Karl Landsteinerは1900年にこの血液型の発見を発表。彼の発見は安全で大規模な輸血への道を切り開きました。

    現在でも彼の方法は血液バンクにて信頼の置けるテストとして用いられています。

    そしてそれから数年後、別の研究グループは別の血液型ABを発見します。

    また、20世紀の半ばにアメリカの研究者Philip Levine氏がRhという別の血液因子を発見しました。


    2014-07-23-14
    photo by Michael Coghlan


    ここでまた疑問が登場します。

    何故人々は血液型がそれぞれ異なっているのか?という疑問です。

    ニューヨーク血液センターでの免疫血液学、ゲノミクスの所長であるConnie Westhoffは「これらの質問に答えられる科学的答えを手に入れるのは困難であった。その間に馬鹿げた非科学的な論が巨大な人気を得てしまっている。」とため息をこぼしました。

    血液型の議論の一つはどのように異なる血液型を得たのか、という起源説です。

    1900年のKarl Landsteinerの血液型発見の後、他の研究者は、もし他の動物の血液型も違っていたとしたらどうなるのかと疑問に思いました。

    いくつかの霊長類の血液は特定の人物の血液と上手く混合できる場合があったのです。この調査結果を作ることは難しいものでした。

    猿の血が人間の血液と結合出来ることは、同じ共通の祖先であったことを必ずしも意味するものではありません。これは血液が複数回進化したことによる可能性とも考えられます。

    この不確かな情報は、1990年代に科学者達によって徐々に確かなものへと変化していきます。

    科学者がこれまでに研究した情報は、血液型の歴史を表しています。

    科学者達はABO遺伝子を他の種と比較し始めた結果、テナガザルとヒトは両方共通の遺伝子を持っており、更に調査の結果、2000万年前に住んでいた共通の祖先に由来していることが明らかになりました。

    私達の種はもっと古い祖先に由来しているのかもしれませんが、全ての霊長類の調査はまだ完了していないため、どこに位置するのかはまだ知ることが出来ません。


    研究の結果、いくつかの系統は変異によって一部の血液型をシャットダウンしていることが明らかになりました。例えば、私達と一番近い存在にいるチンパンジーは唯一AとOの血液型を所持しており、ゴリラはB型の血液しか所持していません。

    更に、人間も突然変異によって血液型が変化するとの報告も知らされています。


    2014-07-23-15
    photo by Mark Jensen

    科学者はABO遺伝子の利害について識別するのに苦労をしています。

    これには多くの証言がなされてきましたが、トゥールーズ大学のAntoine Blancher氏は「血液型によって特に明確な利害はありません」と述べていました。

    しかし、20世紀半ばに、医師らによって疾病と関係のある血液型のリストが作成されています。

    ウェストミンスター大学のPamela Greenwell氏によると、A型は膵臓癌や白血病のタイプのガンへの罹患率が高いとされ、更に天然痘感染症、心臓病や重症マラリアにも罹りやすいと言われているそうです。

    一方他の血液型も別の病気へのリスクの上昇があり、O型では潰瘍やアキレス腱の損傷を引き起こしやすいと言われています。

    科学者はこれらの関連を結びつけるために病気と血液型の背後関係を徐々に調べています。

    O型は重度のマラリアになりにくいと言われていますが、トロント大学のKevin Kain氏によると「O型は他の血液型と異なり、免疫細胞が感染した細胞を見つけやすくなっているために処理が容易くなっている。」と話しています。

    これらの血液型と病気の関連でもっとも不可解なのが、血液を介しない病気です。

    それはノロウィルスです。このウィルスは多くの人々に猛威を振るい、激しい嘔吐や下痢を引き起こすため、クルーズ船では悩みの種となっています。このウィルスは血液に介せずに腸へと進入することで引き起こされます。にもかかわらず、血液型によって感染率に影響が受けるというのです。

    この特定の謎は、血液細胞は血液型抗原だけを作成する細胞ではないと説明付けられることによって解決します。

    それらは、血管壁、気道、皮膚及び毛髪中の細胞によって産生されます。

    多くの人々の唾液中にも血液型抗原を分泌しており、腸内の細胞によって産生された血液型抗原上にノロウイルスは入り込み、私たちを病気に冒すのです。


    2014-07-23-16
    photo by Abhishek Jacob

    これらのことが数種類の血液型が何故何万年も耐えてきたのかという手がかりになるかもしれません。

    私たちの霊長類の祖先は、ウイルス、細菌および他の敵を含む無数の病原体と永久に終わることのない戦いに縛られています。

    これらの病原体の中には、血液型抗原の種類を活用するようになっている可能性があります。

    ウィルスにとって最も適した最適な宿主は彼らの絶好の標的となります。しかし、徐々に彼らは宿主を殺害し、その優位性を破壊している可能性があります。

    一方、稀な血液型を持っていた霊長類は、いくつかのウィルスに対して耐性があったために繁栄していくことが出来たのかもしれません。

    eyecatch by Jamie雪宁

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