• がん治療の影響で、二人のHIV患者からHIVウィルスが消滅する

    

    がん治療の影響で、二人のHIV患者からHIVウィルスが消滅する

    photo by Gates Foundation

    HIVウィルスエイズを引き起こすため、非常に厄介なウィルスです。更に、一度ウィルスに感染してしまった場合はエイズの発症を遅らせるだけで、完全な治療は現段階では出来ないと言われています。

    しかし、信じられないことに、HIV保有のがん患者に対してがん治療のための幹細胞の移植を行った所、HIVウィルスが発見されなくなったとの報告がありました。

    その患者は二人のオーストラリア人の男性で、現在も念のために抗レトロウイルス療法(ART)が行われています。

    ニューサウスウェールズ大学のカービィ研究所の所長でエイズ研究の第一人者デイビッド・クーパー氏は「これらの薬だけでここまでの影響を及ぼすとは考えられない」と述べています。

    なお、1年前にも同様の症例が別のグループでも報告されていたそうです。



    去年、クアラルンプールで行われた国際エイズ会議で、ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究者がマサチューセッツ州で幹細胞移植を受けた二人の患者にはウィルスが発見されなくなったと会議内で発表。

    それを聞いたクーパー氏は、会議後にそのウィルスが除去されたとされる患者を探し始めます。

    調べによると、最初の患者は非ホジキンリンパ腫のための骨髄移植を受けており、もう一人は白血病の治療を行っていたようです。

    残念ながら、ボストンの患者は抗レトロウイルス治療をやめて数ヶ月すると再発してしまいました。

    もう片方の生まれてまもなくARTを開始した乳児は治療出来たと考えられていましたが、3年が経過するとこちらもまたウィルスが現れ始めてしまいます。

    クーパー氏は、これらと今回のケースの詳細をオーストラリアのメルボルンにて行われた記者会見で発表しました。

    来週の第20回国際エイズ会議では代表者らが招集されます。


    オーストラリアの二人の患者の件について専門家は「ARTを停止すれば再発は容易いだろう」と証言しており、クーパー氏のチームも患者らのHIVが治癒したとは主張していません。

    しかし、クーパー氏は「これらの症例を理解できたならば、HIV治療のフィールドは一気に加速するだろう」と話しています。



    ちなみに、現時点でHIVの治癒が考えられている人物が一人だけ存在しています。
    その人はアメリカのティモシーレイ・ブラウンという方です。

    彼は骨髄移植を受けた後、ART無しで6年経過してもウィルスの兆候がありませんでした。
    とあるベルリンのドナーから提供された骨髄は彼のHIVに対して天然の抵抗性を持っていたのです。


    また、変わった症例として「HIVウイルスを使ってがんを治療した少女」というまさに毒をもって毒を制すというようなこともありました。


    まだまだ計り知れない脅威があるHIVとガンですが、今後の医療の発展によっては我々が生きている間にこれらを完全に治療出来る日が来るかもしれません。

    ・関連リンク

    Cancer treatment clears two Australian patients of HIV(nature)
    http://www.nature.com/news/cancer-treatment-clears-two-australian-patients-of-hiv-1.15587

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